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最高裁判所第二小法廷 昭和60年(行ツ)184号 判決 1985年12月20日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人金井清吉の上告理由について

原審の適法に確定するところによれば、本件選挙の候補者の中に舛本頼登と松本貞雄とがおり、舛本頼登は、選挙運動のため使用したポスターにその氏名を「舛本ライト」と表示し、同じく選挙運動のため使用した自動車の看板にも「ライト」と朱書し、右自動車の上からその氏名を連呼した際には「ますもとらいと、らいと」と氏よりも名を強調したことが多く、投票所に掲示された候補者名簿にも「舛本ライト」と表示されていた、というのである。そして、本件係争票の「松本頼登」又は「松本ライト」なる記載は、舛本頼登の本来の氏名又は同人が選挙運動を通じ自己の氏名として宣伝した「舛本ライト」の記載と第一字を除いて全く一致し、特に個性の強い名である「頼登」又は「ライト」の部分で一致していること、本件係争票の「松本」と舛本頼登の氏である「舛本」とは音感において類似性を有すること、一方、本件係争票の「頼登」又は「ライト」と松本貞雄の名である「貞雄」とは類似性がないことにかんがみれば、原審認定の右状況の下においては、本件係争票は、選挙人が舛本頼登に投票する意志をもつてその氏の「舛」の一字を「松」と誤記したもので、同人に対する有効投票と認めるのが相当であり、右の両候補者のいずれを記載したかを確認し難いものとしてこれを無効とすべきではない。これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができる。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 藤島 昭 裁判官 木下忠良 裁判官 大橋 進 裁判官 牧 圭次 裁判官 島谷六郎)

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